球状船首の基本計画は、最近の造波抵抗理論によって、理論的に行うこともできるが、最近多く発表されている水槽試験資料も併用した方が実際的である。
球状船首の効果として、次の2点が考えられる。
?@ 船体のつくる船首波を打ち消して、船首波による造波抵抗分を無くするか、または、きわめて小さくすることができる。
?A 幅広い低速な肥大船型において、船首部の水の流れを整流することにより形状抵抗を小さくすることができる。
球状船首は、一般に満載状態を対象にして設計されるから、中低速の通常の貨物船において、バラスト状態では、トリムをうまくとらないと、球状船首としたためかえって造波抵抗が増加する場合がある。最近では球状船首の断面形状を、縦長のスリムな形状とし、その突出量を大きくして、バラスト状態の喫水線の入射角(エントランス・アングル)を出来るだけ小さくして造波抵抗の減少を狙うことが多い。
1.6 船体付加物の抵抗
船体付加物の抵抗は1軸船では、きわめて僅かで、全水抵抗の数%にすぎないが、やせた2軸船では、20%以上にもなることがある。
(1) ビルジ・キ―ル
普通一般に、ビルジ・キールの浸水表面目の分だけ摩擦抵抗が増加すると考えてよい。
(2) かじ
船尾端、船体中心上に装備された流線形かじの抵抗は、ビルジ・キールの場合と同様に、その浸水表面積分だけ摩擦抵抗が増加すると考えてよい。
3) ボッシング
1軸船のボッシングは非常に小さなもので、抵抗上は無視してよいが、2軸船では、かなり大きな構造となるので、抵抗に及ぼす影響も大きく、全水抵抗の8〜15%程度になり船体がやせ型になる程、ボッシングが長大になる程、大きくなる。
(4) シャフト・ブラケット
船体が著しくせ型になると、ボッシングは非常に長大なものとなり、その抵抗増加も非常に大きくなるので、ボッシングの代りに、シャフト・ブラケッを採用して、プロペラ軸を支持することが多い。その抵抗の増加は、裸殻状悪の全水抵抗の5〜10%程度となる。
1.7 空気抵抗及び風抵抗
風の全くないときの、空気抵抗は水抵抗に比べて非常に小さいが、風が吹いているとき、特に
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